地域問題、国際的視点で
毎日新聞No.1 【平成10年6月11日発行】
~山梨総研 総合的な質の向上めざす~
”世界の中の日本は、日本の中の山梨”といわれるが、日本の縮図のように山梨 においても情報化や国際化、環境問題など様々な課題がある。
例えば、東京・山梨・長野を結ぶ光ファイバーケーブルにCATVや防災無線など を接続して行政サービスや在宅診療、商用に活用する通信実験「中央コリドー高速通 信実験」など地域の情報化に関する課題である。また、世界的な大交流時代が予想さ れる21世紀に向けて人の集まる地域づくりを進めようとする「ビジターズ・インダスト リー」集客産業に関する課題である。さらに、産業の空洞化と雇用の問題、環境問題 や少子・高齢化の問題などである。一方、このような状況の中で地方分権・自治が叫ば れ、いよいよ地域はどのような戦略をたてどのように推進していくか、地域の経営力 が問われている。
さて、地域の活力とは”ミクロとマクロの両面におけるさまざまな問題を発見する 能力であり、それを解決していく能力の高さである”といわれる。このたび山梨県と64 市町村・民間企業3社の出捐により設立された(財)山梨総合研究所は、地域が抱えるさ まざまな問題について地域の視点だけでなく国際的な視点、中長期的な視点から課題 解決の方策を探り、政策提言していく機関である。
山梨総研は、地域のシンクタンクとして大学や専門家の力を借りながら 「think」考えることと同時に「do」動く、動機づけることをめざし、地域の 皆様とともに地域が動き出すようなインセンティブを模索し、「do tank」とし ての機能を重視していきたいと考えている。また、地域のビジョンを語るサロンとして 機能するとともに、自主研究・受託研究を通して調査ノウハウの蓄積やデータベースの 構築をすすめ、人材の育成と地域の総合的な質の向上をめざしていきたいと考えている。
(財団法人山梨総合研究所専務理事 早川 源)