長期的観点から貢献
毎日新聞No.2 【平成10年6月18日発行】
~コミュニケーションの必要性痛感~
山梨総合研究所は、47番目の都道府県シンクタンクと言われている。全国各地 を見渡すと、各県に少なくとも1つは総合研究所か、それに類する研究機関が設けら れているのだから、私たちは最後尾にいるのかもしれない。
東京都職員研修所が1996年3月に発表したシンクタンクのあり方に関する報 告書には、都道府県シンクタンクの設立には二つの高まりが記されている。一つは70 年代後半の時期であり、もう一つは90年代後半である。前者はわが国においてシンク タンクが数多く設立され、本格的に動き出した時期であって、その動きにのって設立 されたものといえる。それに対して、90年代発足の都道府県シンクタンクはそれまで の行動形態等の反省を踏まえて、機能的にも多様化しており、従来からの政策研究に 加え、政策企画や政策研修の充実、まちづくりの支援等を志向するものが多い。地域 自身で解決すべき課題の増加、市民と行政の新たな関係の形成、実質的な地方分権の 推進等の動向を反映させているわけである。その点ではモデルなき「地域シンクタン ク」の道を歩むということでもある。
山梨総研は、まさしく90年代シンクタンクであって、地域シンクタンクとして最 も新しいということになる。設立して2ヶ月半が経った現在、試行錯誤をつづけている。 準備段階での配慮もあって、私の想像を超えて調査等の引き合いや依頼が多い。県民の 山梨総研への期待の反映といえる。ただ、その中には、目的や意図がはっきりしないも のや調査として成立しそうもないものもみられる。あらためて,調査研究や総研の活動 をめぐってのコミュニケーションの必要性を痛感している。また、期待が大きいことは 大変ありがたいことではあるが、同時に、長期的観点から良質で地域に貢献できる機構 になるように、見守っていただきたいと思っている。
(山梨総合研究所 調査研究部長 檜槇 貢)