市民ボランティアの活躍
毎日新聞No.3 【平成10年6月25日発行】
~W杯サッカー 1万2000人が運営サポート~
フランスで開催されているサッカーのワールドカップは、連日、熱戦が繰り 広げられている。今大会は、フランス国内10都市において試合が開催されている が、大会運営には、開催都市の住民をはじめとした市民ボランティアが活躍してい ることをご存じであろうか。
例えば、ワールドカップのような国際大会においては、海外からの観客を迎え るために多くの通訳を必要とする。しかし、専門の通訳事業者に頼るだけでは、通 訳者が不足するほか、その経費も多大なものとなってしまう。そこで、市民からボ ランティア登録を募り、試合会場や空港などにおいて通訳ボランティアとして活躍 してもらうのである。こうした通訳のほか、会場案内や医療補助など、フランス大 会には実に1万2000人の市民ボランティアが登録して大会運営をサポートしている。
このようなスポーツにおけるボランティアの活躍は、海外に限ったことではない。
山梨県内唯一のサッカーJFL(ジャパン・フットボール・リーグ)クラブで あるヴァンフォーレ甲府のホームゲームを訪れると、チケット販売や会場案内など約 30人のボランティアたちの活躍している姿を見ることができる。このボランティア ・チームは、「カマラード」という愛称で呼ばれている。「カマラード」とは、「フ ランス語で仲間同士という意味」(ヴァンフォーレ甲府実行委員・今泉氏)であるそ うだ。この愛称の意味する通り、サッカーというスポーツイベントに地域の住民が仲 間として参加することにより、親しみにあふれる試合観戦の雰囲気づくりに成功して いるのである。
さて、テレビ桟敷のワールドカップ観戦に疲れを感じたなら、今一度、目を転 じ、身近なスポーツ観戦に足を運んでは如何であろうか。そこには、テレビには映ら なかったボランティアたちの活躍する姿があるはずである。
(山梨総合研究所主任研究員・川島 建文)