W杯キャンプ地に
毎日新聞No.25 【平成11年1月17日発行】
~2002年サッカー機に ぜひ立候補を~
昨年6月にフランスで開催されたサッカーのワールドカップ(W杯)は、地元フランスの初優勝という結果に終わり、シャンゼリゼ通りを埋め尽くした150万人といわれる観衆の中、イレブンを乗せたバスによる優勝パレードで幕を閉じた。今大会では、日本代表チームが初出場を果たした。3戦すべてに惜敗し、世界の壁の厚さを思い知らされたが、大会期間中に経験したすべてが糧となり、今後につながるものとなった。
日本代表チームが大会に参加するにあたり、まず頭を悩ませたのは現地でのベース・キャンプ地の選定である。いくつかの候補地から、スイス国境に近いエクスレバン市という小さな温泉保養地を選び、試合のたびに移動する合宿生活を約3週間続けることとなった。同市を選定した理由として、スポーツ施設や宿泊施設といった練習環境の良さに加えて日本人サポーターの訪問に備えて日本語の通じるガイドの配置を決めるなど優れたホスピタリティを挙げることができる。
こうした経験を踏まえ、2002年に日本、韓国で開催される次回のワールドカップに向けて、スポーツを通じた地域の国際交流のため、いずれかの参加国のキャンプ地として県内の自治体が立候補することを提言したい。
県内をキャンプ地とする意義としては、世界基準での良質なスポーツ環境の整備が進むことに加えて、地域レベルでの国際交流が活発になるほか、参加国の人々に向けた「YAMANASHI」の知名度向上の効果などを期待することができる。また、一時的な国際交流にとどまらず、交通機関や道路標識における外国語表記の拡大や、国際的なボランティア活動の普及など地域の国際化の壁を取り払う”バリア・フリー”(障壁のない)の地域づくりに資すると考えられる。
キャンプ地としての自治体の立候補の受付は今月から始まる。さしあたり、キャンプ地とする候補国としては、ミレーなど何かと縁のあるフランスなどいかがであろうか。
(財団法人山梨総合研究所主任研究員・川島 建文)