地域振興券 有効な使い方、議論を
毎日新聞No.28 【平成11年2月18日発行】
~期待される波及効果~
政府が景気回復策の目玉として発表した地域振興券が配布され始めた。この政策は、純粋に経済対策として実施されるとは言い難いだけに経済効果については疑問視する声が大きいが、現状の枠組みで有益な経済対策として機能させるためにはどうしたら良いだろうか。
何といっても、普段買わないものをどうしたら買ってもらえるかである。地域振興券の利用が日常品の購入に使われ、浮いた分が貯蓄に回るのでは景気浮揚につながらない。
例えば、二度と縁のない高級料亭での会食や普段やらない人が一生に一度のパチンコと言うのであれば意味がある。
しかし、これでは、ひととき楽しんだとしても後には思い出と増税しか残らない。継続的な効果が望めるようなもっと有効な使いみちはないだろうか。
一つの案として、たい肥に戻す生ごみ処理機の購入などはどうだろう。生ごみの処理に悩んでいる主婦は多く、また家庭菜園やガーデニングの人気を考えると購入に対する潜在需要はかなりありそうである。
もう一つ推薦したいのは、自動車のチャイルドシートである。来年度から義務化されるかもしれないと言う報道がなされているが、「あればそれに越したことがないもの」であり、「その気がなければなかなか買わないもの」である。しかも地域振興券は、年配者などとともに「子どもがいればもらえるもの」である。
もちろん双方とも2万円では足りないが、行政として地域の商店に対し地域振興券での購入には通常価格より値引するというような働きかけはできないだろうか。単に券を配るより購入意欲が出てくるはずである。
これならば、普段の消費に地域振興券分の消費がプラスされるばかりではなく、プラスアルファの効果があり、また環境対策、交通対策にもなる。これまでは券の発行に関心が集中し、どう使われるべきかの議論が少ない気がする。社会生活への波及効果も期待し、どこかの自治体でこんなアイデアについて検討してくれませんか。
(財団法人山梨総合研究所主任研究員・村田俊也)