コンピューター西暦2000年問題
毎日新聞No.41 【平成11年5月27日発行】
対策はすんだ?
~真剣な取り組みPRのよい機会~
「西暦2000年問題」については、実態が把握できないもどかしさに加え、生活の中で改めて感じるコンピューターの多さに、不安感が日に日に増大しているようだ。
西暦2000年問題とは、コンピュターシステムが西暦の下2桁を使って日付を認識していることにより、2000年と1900年の区別がつかなくなり、プログラムが誤作動し、エラーがでたり、コンピューターそのものが停止してしまう現象である。
予想される影響としては、医療機器が停止したり、信号機のランプが消えるなど生活や生命に深刻なダメージを及ぼす項目から、家電製品が作動しないといった少し不便になるものまであると言われている。
かつてはメモリーなどの記憶装置が高価なため、西暦を4ケタで記憶させるより2ケタで記憶させる方がプログラム領域の容量が節約され、とても良いアイデアと重宝され、最近まで使われ続けてきた。しかし、この工夫が思わぬ「ツケ」となってしまった。
プログラム修正にはかなりの費用がかかるため、政府も低利の融資制度等で中小企業支援策を打ち出しているものの、長引く不況の影響や経営者の認識にずれがあり、なかなか思うように対策が進んでいないのが現状のようだ。
総務庁のホームページに中央省庁・特殊法人などの対応実施状況(3月1日現在)が公表されていた。医療機関を除いた国民生活・企業活動に密接に関連するものについての実施状況は「修正完了」が67%、また、「模擬テスト(プログラム修正後、実際に西暦を2000年にして不具合を確認するテスト)完了」は45%と半数に満たない。医療機関の医療機器に至っては「修正完了」44%、「模擬テスト完了」が23%という低い状態だった。
西暦2000年問題に対する対処が完ぺきに行き届いている企業などは、真剣に取り組んでいる姿勢をPRできるよい機会なのではないだろうか。特に国民生活の基盤に直接関わる企業・自治体などには、不安解消のためにも、さらなる情報開示、PRをしていただきたい。
(山梨総合研究所 研究員 樋口真二)