地域高規格道路に期待


毎日新聞No.44 【平成11年6月24日発行】

~高速交通時代のまちづくり~

 設計速度60~80キロ、片側2車線で測道・歩道部分を含むと幅40メートルに達するという、これまで県内で建設された一般道路として最も幅広い「地域高規格道路」の整備が進められている。
 甲府市内から放射状に延びる主要道路を相互に連絡する、全長39キロの「新山梨環状道路」、甲府市と埼玉県花園町を結ぶ「西関東連絡道路」が、これである。

 新山梨環状道路では、中部横断自動車道と甲西バイバスを利用する西部区間、若草町から釜無川大橋を経由して甲府市南部に達する南部区間の、2つの区間で用地買収や工事が進められており、平成13(2001)年春には一部の区間で供用開始となる予定である。

 また、西関東連絡道路では、山梨市万力~甲府市桜井町間で都市計画決定がなされており、一部で、用地買収やトンネル工事などが始まっている。

 これらの道路は、「地域高規格」の名前が示すとおり、無料、または最低限の維持費で利用でき、来る21世紀に向けて地域の大動脈となり、地域社会に多大な影響をもたらすことが予想される。

 特に、これらの道路の通過が想定される中巨摩郡をはじめとする周辺町村は、ここ10年間の人口増加率が県内で最も高い、言わばパワーのある地域である。道路が建設されると、交通量の増大や環境への影響などマイナスの面も懸念されるが、これらの道路がもたらすプラス面の影響を、どのように地域づくりに活かしていくかは、地域の取り組み方次第である。 

 このためには、基礎データの収集など、できるだけ早い時点から対応に取り組み、高速道路網の活用とまちづくりを連動した、しっかりした地域計画が必要である。

 道路用地となる土地には、地権者が先祖代々守ってきた、それぞれの歴史や物語が秘められている。これら貴重な犠牲の上に作られる「道」であるので、地域の未来に光を与え、多くの住民が「道路ができて良かった」といえる、住民本位のまちづくりに期待したい。

(山梨総合研究所主任研究員 廣瀬久文)