住民による会


毎日新聞No.46 【平成11年7月7日発行】

~意義感じ積極参加を~

 「あなたが住んでいる市町村のまちづくりに対する基本的な方針を知っていますか?」と尋ねた時、「知っている」と答えられる人は何人いるのだろうか。
 一般に住民は、市町村が策定した計画を目にすることは少なく、日常会話でも話題にのぼることはめったにない。そのため、計画の内容どころか、計画自体の存在をも知らないという人も多いかもしれない。しかし、あなたが住民参加によるまちづくりの必要性を感じるのなら、どんな計画があるのかを知っておくべきであるし、計画づくりにも積極的に参加する必要がある。

 では、市町村にはどのような計画があるのかというと、次のような計画が策定されている。市町村の総合的な将来構想である基本構想、基本構想に基づき策定される基本計画、基本計画に定める事業を具体化する実施計画、土地利用にかかわる都市計画、福祉関連や農業振興に対する分野別計画などである。

 中でも、基本構想と基本計画は、自治体の骨格を成すもので、総合計画とか長期計画といわれ、まちづくりや行財政運営の基本となる方針および重要な施策がまとめられた計画で、行政の施策や事業基本となっている。

 この計画の対象期間については、基本構想が10年~20年程度、基本計画が5年~10年程度とされており、期間が過ぎれば見直しが行われる。多くの市町村では、計画の目標年次を2000年初頭としているので、ちょうど今が見直しの時期となっている。

 総合計画はこれまで「住民に夢を」という暗黙の了解があった。しかし、市町村財政が厳しさを増す現在では、夢ばかり追いかけられないのが現実であり、住民の意見を反映していかなかれば計画など策定できない状況となっている。

 市町村は、限られた予算の中で、事業の厳選や事業内容の精査を行い、実施すべき施策を具体的な形で住民に明らかにし、一方、住民は、計画に無関心でいるばかりでなく参画する意義の大切さを感じ、積極的に計画づくりへ参加し、協働して自分たちのまちをつくっていく必要がある。

 今回の見直しは、住民参加のまちづくりを実現するための絶好の機会である。

(財団法人山梨総合研究所研究員・竹野浩一)