環境マネジメントの取り組み


毎日新聞No.58 【平成11年11月3日発行】

~ISO14000シリーズ認証取得を期待~

 地球環境問題への認識が高まるにつれて、企業や行政においては環境への負荷を管理し抑制する「環境マネジメント」の考え方が広がりつつある。
 もともと、企業や行政の事業活動は、その製品やサービスを生み出す過程や消費を通じて、地球環境に対して負荷を与えている。例えば、普段何気なく使っているコピー紙一つとっても、原料となる木材を伐採するほか、完成した紙製品の輸送にガソリンなどの化石燃料を燃焼している。さらに、事業活動で使用した後に廃棄物として処理する際にも、エネルギー消費や環境劣化を生み出している。

 このように、地球上のすべての活動は、限りがある資源を消費したり、環境を劣化させるなど、地球環境に対して負担を強いているのである。環境マネジメントとは、こうした事業活動にともなう環境負荷を把握したうえで、事業活動のやり方を見直すことにより、可能な限り負荷を少なくするよう努めるものである。

 この環境マネジメントを進める手法として注目されているのは、国際標準化機構(ISO)の発行する規格であるISO14000シリーズの認証取得である。
この規格は、環境マネジメント方針のほか、環境負荷の抑制のための具体的な取り組み計画を作成し、定められた審査機関からの認証を受けるものである。昨年までに全国で1,174件の取得があり、山梨県内でも27件の取得がある。また、昨年1月には行政として初めて千葉県印旛郡白井町が取得したのをはじめ、昨年度までに10団体が取得したほか、北海道などいくつかの団体が取得に向けて準備を進めている。

 認証取得のためには、環境マネジメントに取り組む体制や予算を確立する必要があるほか、外部監査や職員教育が求められる。こうした計画により、効果的で継続的な環境マネジメントが可能となるのである。環境問題に積極的に取り組む本県においても、企業に加えて、行政におけるISO14000シリーズの認証取得を期待したいものである。

(山梨総合研究所主任研究員・川島 建文)