「まちづくり3法」の利用と活性化の3方向
毎日新聞No.66 【平成12年 2月23日発行】
人口の郊外化や大規模小売店の郊外進出などにより、昔からの町の「顔」である中心商店街の衰退が叫ばれて久しい。これらの問題に対して、これまでの対策を組み直し、より総合的に活性化を進めようという視点から、「大規模小売店舗立地法」「中心市街地活性化法」「改正都市計画法」の、いわゆる「まちづくり3法」が成立した。簡単に述べると、大規模小売店舗立地法は、「大店法」の規制緩和で、出店に対する地元との調整手続きを明確化したものであり、中心市街地活性化法は、商業地全体をひとつのショッピングモールに見たて、市街地の整備改善と商業の活性化を一体的に進めるもの、また、都市計画法の改正は、都市計画決定に関する市町村の権限拡大と、「特別用途地区」という都市計画上の用途規制を、地域の実情に合わせることができるよう原則自由化したものである。
この3法に共通するのは、これまでかなり限られていた市町村の位置づけを見直し、地方分権の流れの中で、これらの法の運用をより住民に近い市町村レベルにゆだねた点であり、地元が責任を持って自らのまちの在り方や将来方向を定め、それぞれの地域の特性を生かしたまちづくりを推進することを求めている。
それでは、これらを活用した中心市街地の活性化方向として、どのようなものが考えられるのであろうか?試案として(1)居住機能、(2)業務機能、(3)にぎわい機能-の3点を取り上げる。
(1)居住機能-欧州では、「街は、人が住んでこそ街である」という概念がある。本来、都市は、交通や各種対個人サービスの集積など人が住みやすいところである。土地が狭いことから、住宅地供給における面的な制約はあるが、高層化などにより、都会的刺激を求める若者や、交通機能や医療・福祉サービス機能に期待する高齢者を対象とした、高度な居住施設を供給することが考えられる。
(2)業務機能-都市には、商業機能だけだけでなく、対事業所・対個人サービスなどの業務機能の集積がある。複数の用事を一度に済ますことができる都市は便利であり、後背地から人々が流入してくる場所である。受け皿としての駐車場を整備し、人が集まることの利点を活用することが必要である。
(3)にぎわい機能-昔の都市は商業機能がメーンであり、「物」を介しての人と人との交流が主であったが、これからの都市には、情報や文化を介しての交流が求められており、都市が持つ刺激や文化の利活用が必要である。これには、「百聞は一見にしかず」の言葉どおり、人々にまず見せることが重要であることから、人に見てもらうための中身(コンテンツ)の充実を図り、街全体が一つのショーウィンドーになるよう誘導することが考えられる。
(山梨総合研究所主任研究員・広瀬久文)