デビットカードって何?


毎日新聞No.72 【平成12年 4月12日発行】

~課題あるがメリットも~

 今年3月、デビットカードの本格的な運用が始まった。と言われても、デビットカードって何?という方もいよう。デビットとは、「即時決済」という意味で、買い物の際キャッシュカードで支払いの手続きをすると、その場で口座から代金が引き落とされる仕組みである。キャッシュカードの所有率は高く、未成年者も利用でき、販売店側の手数料も低いことから、クレジットカード以上に普及することが見込まれている。
 ただし、課題もある。一つ目は、盗難対策である。金融機関の機械化コーナーには防犯カメラがあるが、今後利用場所が広がると盗難カードの使用対策が問題になりそうだ。いずれICカード化されようが、キャッシュカードに盗難保険を付保する動きが出てきている。

 二つ目は、加盟店の多様化である。既に全国で10万ヵ所利用できるが、今後はスナックなどでも現金なしで飲める。店側もつけ払いが減ることになり、ともにメリットがあって普及しそうである。しかし、低額品を扱う先は取扱手数料が気になるかもしれない。もっとも、スナックで頻繁に使ったことが通帳に記載されるので、妻が通帳をチェックしているような家庭では使うのをためらうかもしれないが。

 三つ目は、クレジットカードとのすみ分けである。消費者には後払いであるクレジットカードの方が有利であるが、低額品を買うときはクレジットカードの使用に抵抗感を感じる向きもあり、高額品はクレジットカード、日常品はデビットカードと使い分けていくことになるのではないだろうか。

 既に、自動販売機にデビットカードでの決済機能を付ける開発を進めているメーカーが出てきている。また、デビットカードで物品を購入せず支払手続きだけすれば小売店がATMになったかのように現金を受け取ることもできる(法的には不透明?)。

 利用時間が統一されておらず使いにくい面もあるが、イギリスやフランスなどでは日常的に使われており、ファーストフード店やコンビニ店など利用場所のすそ野が広がれば、現金決済へのこだわりが強い日本でも普及が進むと予想される。

(山梨総合研究所主任研究員・村田俊也)