ゴミが家庭を襲う日
毎日新聞No.101 【平成13年 4月17日発行】
~住民主役の管理社会を~
拝啓20世紀の皆さん。あれほどわたし達が待ち焦がれていた21世紀はいよいよ最初の年度始めを迎えましたが、今日は20世紀末に皆さんの多くが最重要問題の1つとして予測したゴミ対策について報告いたします。
毎日、どこかの路地には半透明のゴミ袋の山を見つけますし、時おり早朝、薄暗い中で粗大ゴミの整理等を行う町内会の人々を見かけるのですから、わたしたちはすでにゴミと一緒に暮らしていることは間違いないのです。それにもかかわらず、その処理処分の方法や場所の合意を得ることに苦しんでいます。
今年の2月末、富士箱根伊豆国立公園内にある青木ヶ原衛生組合大和田清掃センター2基の焼却炉から、国の環境基準値を超える濃度のダイオキシン発生が明らかになり、焼却炉は補修工事等のために約2ヶ月間操業停止となりました。ゴミ処理は毎日のことですから、とたんに郡内4町村、東八代郡の7町村の11町村に広がる関係地域のゴミの収集がストップしたのです。このうち東八代郡の7町村分のごみは、結果的に東八郡の石和町と一緒に運営している甲府市環境センターが受け入れることになりました。補修後の大和田清掃センターは2002年末で閉鎖されることが決まっているのですから、その段階でこの場所に新たに清掃工場等を設置しないことが受け入れの条件でした。予期せぬ出来事だから隣接する清掃工場として、一時的なゴミの受け入れはやむをえないことですが、そういった事実の積み重ねで恒久的な清掃工場地域になるのはたまらないということでしょう。
ゴミをコントロールすることから目をそらしていると、ある日突然、家中がゴミに占領されてしまいかねないような大量廃棄物社会になっているのです。ですから、危険なものを排除し、有価物をリサイクルできる技術や設備を積極的に取り入れたうえで、生活者を主役としたゴミ管理社会を築くことが急務なのです。そうでなければ、突然にゴミが台所から出せなくなる事態をわたし達はいつも覚悟していなければなりません。
4月からテレビ、洗濯機、冷蔵庫、エアコンの4品目について、消費者負担による廃棄・リサイクルを行う家電リサイクル法が施行されました。しかし、3月末の無料のうちに家電の廃棄や前倒し買い替えが駆け込むように行なわれたのは、排出者として責任回避の残念な行動だと思います。
(山梨総合研究所・調査研究部長 檜槇 貢)