「脱マイカー」への試み


毎日新聞No.114 【平成13年11月 6日発行】

 私は週末になると、マイカーで出掛けることが多い。実際、車を運転することは好きであるし、非常に便利であると感じている。しかし、週末の道路は何処も彼処も渋滞しており、渋滞は私のイライラ度を増加させるため、日頃から何とかならないものかと感じている。

 そんなおり、「パーク・アンド・バスライド」試行運行のチラシを見かけた。パーク・アンド・バスライドとは、郊外に住み、マイカーで中心市街地にある職場まで通勤している人向けの新しい通勤方法であり、自宅から郊外に設けられた駐車場までマイカーで行き、その駐車場から運行されるバスに乗って通勤する方法である。バスの部分は、電車やその他の公共交通機関に置き換わることもあり、渋滞解消や排気ガス抑制による環境への影響が良いと言われている。今回試行運行されるのは開国橋ルートで、主に峡西地域の通勤者を対象としており、12月から翌年の1月までが試行期間である。このような動きにより、「脱マイカー」の気運が高まっていくのであろう。

 パーク・アンド・ライドとは別に、脱マイカーの方法として注目されるのが、「カーシェアリング」という方法である。これは、主に欧州で盛んに行われており、複数の人が車を共同利用するシステムのことである。会員制のレンタカーみたいなもので、車を貸し出すステーションが自宅近くに設置されていたり、手続きが電話やインターネットでできる等、レンタカーより身近に車を利用できるという点が特徴である。カーシェアリングを導入している地域の調査によれば、マイカーを持ち、使うことによる費用は思っているより大きく、カーシェアリングを利用することにより、かなり節約できるようである。それは、カーシェアリングを利用することによって、出掛ける際に本当に車が必要かどうかを考え、なるべく車の使用を避け、公共交通機関を利用しようとするように意識が変化するためであるようだ。したがって、カーシェアリングと公共交通機関の関係は深く、カーシェアリングを広めるには公共交通機関との連携や行政の支援が重要となる。また、カーシェアリングの利用が促進されれば、マイカーの減少により、車の絶対数が減少することになるので、排気ガスによる環境破壊が抑制されることは言うまでもない。

 自動車の技術力は年々向上し、電気自動車のような排気ガスを伴わない自動車など環境への対応がなされているが、環境問題からだけでなく、渋滞解消による自らの街の住みやすさという面からも、パーク・アンド・ライドやカーシェアリングなど「脱マイカー」を考える必要があるのかもしれない。

(山梨総合研究所 研究員 岡田実)