変わる公共図書館の姿
毎日新聞No.191 【平成17年2月25日発行】
~誰もが利用しやすい図書館を~
最近仕事の関係で県内外のいくつかの公共図書館を訪れたが、昔と比べ資料の種類や設備、サービスが相当変化していると感じた。公共図書館といえば、従来本を読んだり借りたりするところ、あるいは学生の自習室というイメージが強い。このため、あまり利用しない人には静かな雰囲気に敷居の高さを感じることも多いようである。こうしたイメージを取り払い、より多くの幅広い層の人に利用してもらおうという取り組みが多くの図書館で始められている。
先進的といわれる市町村立図書館の特徴をいくつかあげると、まず、子どものためのスペースが充実している。一般向けスペースの半分以上の広さをもつところも多く、畳やじゅうたんなど靴を脱いで本を読めるスペースや親子で楽しめるお話し室も用意されている。また、ビデオやCDなどの視聴覚資料が豊富にそろえられ、視聴する機器やインターネットを使えるパソコンも設置されており、図書館イコール書籍という従来のイメージは相当変わってきている。もう一つ、レファレンスというサービスも充実している。これは探している情報がどこにあるかわからないときに、図書館員がお手伝いをしてくれるものである。この延長線ともいえるビジネス支援図書館も登場している。これは起業家や中小事業者、ビジネスマンの仕事に役立つ資料・情報の相談やデータベース検索の支援をしたり、ビジネス関連講座などで最新情報を発信してくれるものである。また、最近の図書館は単独施設ではなく、生涯学習との複合施設とするケースが多いことも特徴である。
このような変化からみた新しい公共図書館像は、赤ちゃんからお年寄りまで誰でも気軽に利用できる施設であること、地域の情報総合センターであること、地域の交流拠点であることなどがあげられる。
県内でも県立図書館をはじめ、いくつかの自治体で新設や建替えの構想が進んでいる。地域の教育・文化の中核施設としてより多くの住民が利用できる図書館となることを期待したい。
(山梨総合研究所 主任研究員 一條卓)