若者よチャレンジを


毎日新聞No.194 【平成17年4月8日発行】

~職に就くということ~

 1日、県内の各企業や官公庁では入社式や新規採用職員の辞令交付式が行われた。一目でそれと分かる新入社員の姿は初々しい。一方「ジョブカフェやまなし」が県民情報プラザ1階にオープンした。専門カウンセラーによるカウンセリング、職業適性診断、情報提供、職業紹介など若者の就職支援センターとして喫茶店感覚での利用を目指しているという。

  ところで、内閣府の国民生活白書(2003年版)によると、フリーターといわれる若者の数は417万人に達している。高卒・大卒後に新卒フリーターとなる若者も増加していて、企業と学生の双方に要因があると白書では指摘している。さらにニート(NEET:Not in Education, Employment or Trainingの略)といわれる、通学も仕事もしておらず職業訓練も受けていない若者の存在も近年クローズアップされている。働く意識や生活的自立が欠落した若者が増えていることを物語っている。これを受けて、内閣府をはじめ関係官庁では「若者自立・挑戦プラン」を取りまとめ、ほぼ全国に設置されたジョブカフェはこの取り組みの一環である。
 現在、リストラによる人員削減や早期退職など日本的雇用慣行は崩れかけている感がある。年功序列や終身雇用制度が崩壊する一方で、今の我が国では職種にとらわれさえしなければ何とか食べて行ける以上、就職への意識が希薄となるのも止むを得ないことかもしれない。

  確かに職に就くことは決して楽なことではない。好き嫌いを越えて仕事と向き合わなければならない。責任も全うしなければならない。しかし、職を自らの意思で選択したか偶然かはあるにせよ、懸命に取り組む仕事には達成感や充実感が必ず存在する。このようにして得られた幸福感や満足感は何より代えがたいものである。「人生の悩みは就職の悩みである。」と碩学は喝破したが、これから社会に出ようとする若者にはチャレンジと己の目指すところを全うしてほしいと思う。

(山梨総合研究所 研究員 渡井 清)