『Yafo Mag』VOL.5「3.0%減、0.9%増」


 3月27日、国の18年度予算が成立した。予算規模は、79兆6860億円(前年比3.0%減)。このうち歳出面では、一般歳出が前年比1.9%減の46兆3660億円となったが、その中にあって社会保障関係費は膨らみ、前年比0.9%増で過去最高となった。
 18年度予算は、社会構造の変化、特に高齢化の影響を大きく受けているが、社会保障関係費の増加は今後も続くと考えられ、21年度からは基礎年金の国庫負担が3分の1から2分の1へと引き上げられるなど、さらに約2兆7000億円の新たな財源が必要と見込まれる。
 このような問題を抱える中、歳出削減だけで財政の健全化を目指した場合、果たして今後、国民生活への影響、特に行政サービスの低下は避けて通れないものであろうか。確かに消費税率の1%引き上げで、約2兆円の税収増が見込まれるが、その一方で、17年度はデフレ傾向が緩み(大増税なしで)前年比約2兆4000億円の財政赤字が縮小している。
 これらの数字を見比べるまでもなく、今後、景気が回復し、無駄な歳出さえ抑えることができれば、増税は避けられないものではない。政府には、なお一層の経営努力が望まれよう。

(主任研究員 家登 正広)