『Yafo Mag』VOL.13「40年後」


 12月20日、国立社会保障・人口問題研究所が平成17年~67年(2005~2055)までの将来推計人口を公表した。
 この推計人口は平成17年国勢調査を基に、コーホート要因法という手法を使い、楽観的な見積りの「高位」、最も可能性が高いと考えられる「中位」、厳しく見積もった「低位」の3パターンで推計しているのだが、一番信頼性の高い中位推計結果によると、今から40年後の平成58年(2046)には日本の人口が一億人を切るそうだ。
 前回の将来推計人口(平成14年、02)では平成62年(2050)までの推計を行なっているが、最終年でも一億人を切らないという推計結果であった。人口減少は我々が思うより速く進行しているのだ。
 また、合計特殊出生率(一人の女性が生涯に生む子どもの数の推定値)も減少を続け、平成25年(2013)の1.21で底を打つが、その後も1.30以上になることはないとされている。このため、年少人口(0~14歳)の割合は平成38年(2026)で10%を切る結果となっている。
 生産年齢人口(15~64歳)についても減少が予想されているため、経済活動にも支障が出てくる可能性が大きい。企業側も雇用体制を抜本的に見直す必要が出てくるだろう。このまま行けば、一億人を切る40年後を待たずとも年金制度をはじめとしたわが国の社会保障制度は崩壊する恐れがある。
 こうした人口減少に歯止めかけるためには、出生率の回復がまず最優先施策と考えられるが、今のところ特効的な施策は見当たらない。しかし、悲観するばかりでは何も始まらない。未来をキチンと見据え、未来設計を組みなおすことで活路は見出せると信じたい。

(研究員 中野 一成)