『Yafo Mag』VOL.14「全国で約35,000人」


 平成16年の産婦人科医と助産師の合計数である。
 このうち、産婦人科を標榜している医師は、10,163人(厚生労働省大臣官房統計情報部「医師・歯科医師・薬剤師調査」)で、就業している助産師は、25,257人であった(同「保健・衛生行政業務報告(衛生行政報告例)」)。
 なお、産婦人科医は、平成6年から16年の10年間で約1,000人減少している。
 さて、報道によると、看護師らによる無資格助産行為(保健師助産師看護師法違反)容疑で書類送検された横浜市の産婦人科病院長について、横浜地検は2月1日までに起訴猶予処分とする方針を固めたという。
 保健師助産師看護師法は第3条で、厚生労働大臣の免許を受けて助産師が助産行為を業務として行えることを定めている。そして同法30条では、助産師でない者が助産行為(業務)を行うことを禁じている。ここで鍵になるのが「助産行為」とは何か、という定義であるが、検察が起訴しなかったことで、この定義が法的に曖昧なままとなったのは残念である。横浜の事例では、看護師の行為がどこまで「助産行為」に該当するかが争点となるからだ。
 少子化の中で妊娠・出産に関わる産婦人科医・助産師・看護師の責任及び負担は高まっている。単に医療従事者の数を増やすという政策だけでなく、併せて法政策上の従事者保護、つまり医療従事者が安心して働ける明解なルール作りが求められているのではないだろうか。

(主任研究員 家登 正広)