山梨とインバウンド観光


毎日新聞No.237 【平成19年3月9日発行】

 今まで「観光振興」と言えば、マーケットが大きい日本人の国内旅行が優先されてきた。しかし、バブル経済崩壊以降、新たな集客手段として外国人の誘客、いわゆるインバウンド観光が注目され、03年には「外国人旅行者訪日促進戦略」の一環として「ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)」がスタートした。

  最近の訪日外国人の推移を見てみると、VJCがスタートした03年が521万人、04年614万人、05年673万人、そして06年は前年比9%増の733万人となった。VJCがスタートして約4年間に200万人超伸びたことになる。地域別の訪日外国人では、アジア地域が最も多く483万人となっており、アジア地域の市場が重要であることが分かる。さらに、国別では韓国が211万人、台湾130万人、中国81万人、香港35万人である。
 最近の韓国・中国人の主たる増加要因は、経済成長を背景に為替相場が円安・ウォン、元高基調になってきたこと、及び両国間の航空路線・便数の増加やチャーター便利用の観光客が増加したことである。また、中国ではビザ申請が北京、上海、広州に加えて、昨年8月、重慶の日本総領事館でも発給されるようになったことが挙げられる。
 これにより、中国の西南地域からの旅行は格段に便利になっている。山梨県と四川省、甲府市と成都市は姉妹都市であり、地域間交流を深めることで観光客の増大も期待できる。
 山梨県には、どのくらいの外国人が入っているのだろうか。国際観光振興機構の04年「訪日外国人旅行者調査」によると、訪問率で3.7%(約193千人)である。これは東京、大阪、神奈川など国際都市が上位にある中で、山梨県の11位は健闘していると言える。

  現在、NHKの大河ドラマ「風林火山」に合わせ、観光キャンペーンを実施している。その効果もあり、「甲斐の国風林火山博」には開幕から1ケ月間に約3万人の入場者があった。山梨の観光振興にとって国内向け観光キャンペーンと同様、将来性のあるアジアを中心とした諸外国に対するPR・プロモーションも重要になるだろう。

(山梨総合研究所 主任研究員 福田加男)