環境保全と産業振興


毎日新聞No.239 【平成19年4月13日発行】

 内陸部に位置し、自然と太陽に恵まれた山梨県では、各自治体が水や森林・太陽を活用したさまざまな環境プロジェクトを展開している。また、NPO法人(特定非営利活動法人)は「小水力発電」、「農業廃棄物を活用した有機肥料」など地域資源の活用を目指した活動を行っている。こうした環境産業の振興こそ山梨県にふさわしい地場産業の育成につながるものと思われる。

  環境先進国を標榜している国がドイツである。日本とドイツの消費者意識の比較調査によると、「環境問題が今後深刻化する」、「エコロジー製品は高くても購入する」、「環境税など、課税してもよい」といった消費者意識は同等であるが、「二酸化炭素削減のために地場産品を購入する」、「環境に配慮した店で購入する」といった実行面ではドイツ人が7割に対し、日本人はその半分程度となる。日本人の環境意識はドイツ人同様に高いが、実際の環境行動は低いということは、消費者を意識したエコロジー製品市場やそれを支援する社会システムが形成されれば行動に結びつく可能性がある。
 企業は生産活動における「資源利用の効率化」、「エネルギーの効率化」を通じ、コスト削減と市場競争力の強化ができる。
 こうした取り組みは大企業であれば可能であるが、中小企業では費用の面で難しい。00年ごろから、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州では、中小企業などのエコロジー効率を改善することによって企業経費を節約するための「エコプロフィット」プロジェクトを支援している。企業に対して補助金によるコンサルを通じ改善提案が行われ、企業による改善にかかわる投資が生まれ、経費削減が達成される。試算によれば1ユーロの補助金に対し、20ユーロの民間投資が生まれ、年間12ユーロの経費削減が行われているという。エコプロフィット事業は、環境対策と環境(サービス)産業の育成を同時に達成する試みであるとも言える。

  「豊かな自然環境をもつ山梨」は県内外の人々が抱く山梨県のイメージである。自治体、県民の環境保全活動も活発である。こうした活動を「生きがい」に「産業」に結びつけるための社会システム作りやアイデアが求められている。

(山梨総合研究所 調査研究部長 中田裕久)