『Yafo Mag』VOL.20「初の300万人突破」
今年6月15日に閣議決定された「障害者白書」中の精神障害者の推定数である。前回取りまとめた3年前から約45万人増加し、302.8万人と推計された。これに対し内閣府は、「社会全体のストレス過多と、精神障害のクリニックの充実も患者数増加に影響している」と分析している。
また、「自殺対策基本法」や「自殺総合対策大綱」では、現在の年間3万人を超える自殺者について、「自殺は精神的な問題が引き起こすもので、社会的取り組みにより防ぐことが出来る」としている。
しかしこれは、年間3万人を越える自殺者を減らすための、いわば出口の対策であり、入口での対策、現在300万人超の精神障害者を減らすための予防策ではない。自殺を防ぐための施策は確かに大切であろう。しかし、自殺者のおよそ100倍に上る精神障害者を減少させることが出来れば、結果的に自殺者を減少させることとなる。
いま「癒し」を求める多くの人がいる。こうした人々に対し、単に「癒し」を提供するだけではなく、世の中のストレスを減らしていき、「癒し」を求める人そのものを減らしていく施策も大切である。
(研究員 中沢 敏)