緑化の重要性
毎日新聞No.249 【平成19年10月5日発行】
皆さんのご自宅のお庭はどのようなお庭でしょうか?私はこの春からケンタッキーブルーグラスという寒地型の西洋芝で庭を緑化すべく奮闘しています。
ケンタッキーブルーグラスは、日本の庭によく見られるコウライ芝など冬枯れする暖地型の芝ではなく、ゴルフ場やサッカーグラウンドでよく見られる通年緑の寒地型の芝です。寒地型の芝は高温多湿な日本の気候が苦手で、県の平野部で育てるのは非常に大変ですが、通年緑が保て、非常に美しい芝です。
都市化・複雑化する私たちの生活において、緑が非常に重要な存在であることは以前から指摘されていますが、近年環境意識が高まり、室温低下による冷房費削減、菜園からの収穫などの実益の研究が進んだこともあり、緑化への注目が一層高まっています。
また、緑化技術の向上により、従来は施工が困難であったベランダ・屋上、地下道・地下駐車場上部などでも比較的簡単に緑化が可能になったこともあり、東京都中心部などでは、公園・並木はもとより、オフィス、マンションなどもさまざまな方法で緑化されています。その結果、ビジネスとしての緑化も近年右肩上がりに成長しています。
家計調査を見ると、県民の園芸関連支出は少なくなく、決して緑に対する意識が低い県ではありませんが、甲府市中心部など市街地・公共スペースの緑は圧倒的に不足しています。公園も従来のうっそうとした木が生い茂るような空間でなく、低木や芝などを中心としたオープンな空間へと変わってきているようで、更新も必要と考えられます。
これに対し、県内の都市緑化基金は、甲府市に約1億円の基金があるだけで、継続的な緑化推進・管理の基盤および意識が充実しているとはいいづらい状況にあります。
緑には、異質なものをつなぐ緩衝材的な役割もあり、多様な構造物を全体としてまとめ、魅力的なまちづくりを行うためにも不可欠です。
「モノ」より「コト」が叫ばれて久しいですが、「コト(感性)」を訴える「モノ(まち)」づくり、感性を高め、時代を映し出せる緑化・デザインが「まち」にはもっと必要ではないでしょうか。
(山梨総合研究所 主任研究員 小笠原茂城)