山梨滞在メニューの提案


毎日新聞No.250 【平成19年10月19日発行】

 08年4月から山梨デスティネーションキャンペーンが始まる。地方公共団体、JR、地元観光関係事業者などで構成される大型観光キャンペーン推進協議会は06年から3年間、集中的に宣伝事業を実施している。今年9月から11月にかけては、全国4ケ所で旅行会社向けの観光説明会を開き、商品の企画に参考となる情報を提供している。

  00年9月から11月に行われた前回のデスティネーションキャンペーンは「ときめく旬感!山梨ロマン街道」をテーマに、自然・味覚・文化をPRした。今回のキャンペーンでは「週末は山梨にいます。」をキャッチフレーズとし、「すこやか人・いやされ人・みとれ人・あじわい人・まなび人」の週末にふさわしい滞在メニューを提案している。週末という言葉には、団塊の世代の退職期を意識し、第二の人生を山梨で暮らしているという意味も含まれているという。
 これらキャンペーンの効果は大きい。前回の実施結果は、観光客数は前年同月比の10.3%増の延べ1736万人となり、誘客増分の経済波及効果は約187億円であった。また、今年の2月から4月に行われた「ちばデスティネーションキャンペーン」は、観光客数は前年同月比の8%増で、延べ3016万人となり、経済波及効果の増分は約150億円となっている。

  近年、職場旅行などの団体旅行から個人旅行にシフトし、その旅行形態も多様化している。「すこやか」、「いやし」といった、ゆったり滞在し、時間を消費するメニューが受け入れられれば、宿泊業など従来の観光産業にとどまらず、農林業、製造業、医療サービスなどさまざまな産業分野への幅広い効果が期待できる。
  一方、旅行事業者の意見では、山梨県内の駅に着いた後、観光地までのアクセスがない、分かりにくい、という2次交通の悪さも指摘されているという。今回のキャンペーンでは、峡南地域の体験型施設めぐりなど、JRの駅を起点とした複数のバスルートが検討されている。今回のバス運行が成功してキャンペーン以後も継続的な路線となり、公共交通を利用する個人のリピーターが定着することを期待したい。

(山梨総合研究所 主任研究員 安藤克美)