『Yafo Mag』VOL.22「8993万人」


 国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、2055年の日本の人口は 1億人を割って8993万人に減少する。「人口減少社会の到来」に伴い、 各自治体の少子化対策への財政投入は必至となる。
 早川町は、子育て支援策として第1子から、その子が中学校卒業するまで の期間、医療費や給食費などを最大で全額補助することや、一時金の給付 を決めている。県内でも例のない手厚い支援策である。その一方、甲府市は 人口増加策として民間賃貸住宅に住む新婚世帯に対し月1万円を3年間助成 する新婚世帯家賃助成制度の廃止を固めた。
 外部評価を受け制度が人口増加に寄与していないとの理由である。
 今後、早川町と同様の支援策を実施する自治体も予想される。
 しかし、財源は限られており、新たな支援策が実施されれば、それに伴い 何らかの事業縮小・廃止を検討する必要がある。また、現制度が市民ニーズ に合致しているかを検討し、本旨に沿わなければ廃止の決断も重要となる。
 人口減少のなか行政は、住民サービスの維持・向上を図りながら財政健全化 の両立が求められ、「あれも、これも」行政が担うことから、「あれか、これか」 を選択し効率よい行政経営が必要となる。

(研究員 野﨑 三則)