『Yafo Mag』VOL.24「24→24」


 9月28日付、総務省による平成18年度市町村普通会計決算の概要(速報)の中での、全国における平成17年度及び18年度の実質収支が赤字の団体の推移である。団体数は同じだが、この中の1/3にあたる8市町が入れ替わっている。ここ5年間、毎年5~10団体は入れ替わっていることから、現在、厳しい財政状態である市町村がいくつもあることが分かる。
 年々増加し続けている扶助費に対し、普通建設事業費や人件費の削減、事務事業の見直しをすることなどにより、市町村の歳出額合計は5年連続で減少を続けている。歳入総額についても、地方交付税・国県支出金・地方債の減少のため、同様に5年連続で減少している。その中で、財政構造の弾力性を示す経常収支比率が全体で、0.1ポイント上昇の90.3%にとどまったのは、地方税の増加によるところが大きい。
 しかし細かく見ていくと、地方税増収額4,940億円の約44%は東京・愛知・神奈川の市町村が占めているため、これら3都県の市町村の経常収支比率は86.8%に低下した一方で、それ以外の市町村は90.9%に上昇し、財政の硬直化が進んでいる。このため、多くの団体では緊急の財政需要に対応できるだけの余裕がなく、赤字決算に転じてしまう可能性が高いのである。
 歳出削減も限界が近くなってきた多くの市町村にとっては、今後も財政的に厳しい状況が続きそうである。

(研究員 中沢 敏)