『Yafo Mag』VOL.26「90万人割る」


 震災や水害など大規模災害発生時には、消防署、警察、自衛隊のみでは十分に地域を守ることは困難な場合も想定される。そのため、住民などで組織され、地域の実情を熟知し、動員力を有している消防団の役割は重要である。
 しかし、かつて全国で200万人いた消防団員が、07年には90万人を割り込んだ。
 県の団員数は1万6000人で、各市町村の条例で定める定数を1300人以上下回っている。さらに高齢化が進み、職業構造も会社員などの被雇用者の割合が7割に達している。このような状況では、地域の安全・安心の確保に支障をきたす事となる。
 昭和町では、消防団員が勤務する事業所に対して無償で広告掲載機会を提供している。市川三郷町は来年度から、災害発生時の消防団員の召集に携帯電話の電子メールを導入し団員の活動をサポートするなど、新たな取り組みも始まっている。
 しかし、それでも少子化や人口減少下では団員の確保は容易ではなく、消防団の既存のイメージを取り払う広報活動や、制度の柔軟な運用とともに、常備消防との連携強化により、少ない団員数でも地域を守ることができる新たな消防団像を模索するときではないだろうか。

(研究員 野崎 三則)