『Yafo Mag』VOL.37「13」


 山梨日日新聞2月7日に掲載された2007年度都道府県別の外国人観光客の宿泊者数で、山梨県は全国13位である。首都圏、中部、関西の三大都市圏が上位に並ぶ中、13位という数字は、関係各機関・各者のこれまでの取り組みの成果として評価できる。しかし、世界的な不況感が漂うなかで、今後、海外からの観光・宿泊客数の見通しは不透明な状況である。しかしこの状況を逆にチャンスと捉え、各種取り組みを進め、今後の準備を進めて行くことが重要である。
 今まで日本経済を牽引してきた大企業の決算は惨憺たる数字が並び、連日「過去最大規模の減少幅」「下方修正」など暗い言葉が報道されている。
 しかし、このような経済状況の中、過去最高利益を上げている企業も多く存在する。それらの企業の特徴は多様であるが、あえて簡潔に記すと、①「低価格で高品質の商品の提供」②「特徴的な商品展開」③「ターゲットの明確化」と言えるだろう。これは、そのまま観光客・宿泊客誘致に直結しないだろうか。
 山梨県は、特徴のある資産を多く有している。富士山、南アルプス、八ヶ岳、多様な果樹農園等の自然資産(環境)、また健康長寿県としての一面を持つ山梨県は、健康という資産も結びつけられるであろう。自然と健康、これらの特徴的な資産を観光産業とより強固に結びつけ、一層活かす必要がある。また各観光産業が連携を密にし、これらを利用した商品展開のターゲットを明確化し、低価格で高品質のサービスを提供する。
 今後ますます混沌とする経済状況の中においても、山梨県の観光産業は他県・他地域との差別化をはかれる特徴的な商品を抱えている。いかに活かしていくのかを各関係者が一体となり推進する時期に来ている。

(研究員 古屋 亮)