身近な温暖化対策
毎日新聞No.301 【平成21年11月27日発行】
今月1日から家庭の太陽光発電で余った電力の買い取り価格がこれまでの2倍、1キロワット時48円になった。温暖化対策の切り札として、太陽光発電設備の普及を図る狙いであり今年復活した設置補助金に続く環境施策の目玉である。ハウスメーカーもこぞって太陽光発電設備を設置した新築住宅の宣伝を行っている。4キロワット程度の設備に約200万円の費用が掛かるが補助金申請件数は4月が2989件、10月は1万4825件と月ごとでも増加傾向のようだ。
一方、新築住宅に多く見られる、屋根材にソーラーパネルが組み込まれた建材一体型ソーラーパネルは、あまり知られてはいないが税金の対象となる。建材一体型ソーラーパネルを設置した住宅は、同じ住宅の屋根にソーラーパネル以外の屋根材を使用したものに比べ、数千円から1万円以上固定資産税が高くなるとの試算もある。同様に、エコカー減税やエコ家電購入によるエコポイントなど環境に優しい製品の購入に対し、優遇制度は増えたが、どうしても出費がともなう。
近年、県内でも、気温の上昇によるブドウの着色不良など農業環境の変化や、熱中症による救急搬送者の増加など、温暖化が原因といわれるさまざまな問題が生じている。だが、自分には直接関係ない問題と感じる人は多く、また温暖化対策というとどうしてもお金がかかるといったイメージがある。しかし、エコ製品を購入しなくても、家庭で出来る温室効果ガス削減方法はたくさんある。たとえば、自動車に乗る際はエコドライブを心がけ、近所へ出かける際は自転車や徒歩でガソリン代の節約。無駄な照明はこまめに消し、使わない家電製品はコンセントを抜き待機電力を減らす。家庭の出費を減らす節約は、生活に係わる余分なエネルギーを減らすため温室効果ガスの削減にもなる。しかも家庭の財布にも優しい取り組みだ。
エコカーやエコ家電への買い替え、太陽光発電の設置などと比べると華々しい取り組みではない。しかし、温暖化対策は喫緊の課題である。ならば、普段の生活に目を向け身近な温暖化対策として、楽しみながら節約とエコ生活を始めてみてはいかがだろうか。
(山梨総合研究所 研究員 三枝 万也)