『Yafo Mag』VOL.49「たばこ税 1本3.5円増税」


 今年の10月より、たばこ税が1本あたり3.5円値上げされる。メーカーの値上げ分(1.5円)と合わせて、1本あたり5円、1箱100円程度の値上げとなる。税収の確保ではなく、国民の健康増進の観点から、たばこの消費を抑制することを目的としているところがこれまでと違う点である。
 また、厚生労働省は不特定多数の人が利用する公共施設での原則全面禁煙を求める通知を出すことを決めた。たばこを吸わない人にとって受動喫煙は健康を損ねる大きな問題であるが、私のような喫煙者にとっては、ますます居場所がなくなりそうだ。
 たばこの値上がりにより、負担増となることから、やむなく禁煙を考える人もいるだろう。だが、ここは禁煙のチャンスと前向きに捉えてみてはどうだろうか。
 禁煙には金銭面でのメリットと、健康面でのメリットがある。例えば、1日1箱たばこを吸う人にとって、毎日のたばこ代が300円かかるとすると、1年間では約11万円となる。これを貯蓄に回せば、毎年旅行ができ、家族サービスにもなる。
 健康面では肺がんや心臓病などの死亡リスクの低減が挙げられる。先日ある本を読んでいたら、「たばこ1本で寿命が2分30秒縮まる」との記述があった。1日1箱たばこを吸う人は1日50分、過去の喫煙年数を10年とすると4ヶ月以上寿命が縮まる計算である。長生きしたい人にとって、参考となるデータだろう。
 日本人の喫煙率は年々低下しており、世界的にも禁煙化の流れが進んでいる。
 今回のたばこ増税がみなさんにとって、なにより私にとって、禁煙のきっかけになることを願う。

(研究員 小柳 哲史)