ガンバレ、ニッポン


毎日新聞No.314 【平成22年5月28日発行】

  まもなく、4年に一度の世界的なお祭りを迎える。壮行試合の韓国戦では、5万7千の観衆の目の前で岡田ジャパンは攻守ともに圧倒されてしまった。今年になって東アジア選手権、国際親善試合に良い結果を残せず、監督は辞任騒ぎ、故障者も多く、チームは意気消沈、明るい雰囲気は感じられない。
  「4位以内を目指す」、「あっと言わせることをしたい」との監督の弁は今年になって破綻した。もともと日本代表は得点力が課題とされていたが、守備力にも大きな弱点があることも明らかになった。ワールドカップクラスの試合では、対戦チームは走力のないセンターバック、高さのないサイドバックの弱点を突いてくる。また、岡田ジャパンが目指す前線からのプレスは後半には効かなくなり、失点を免れない。アジアでは通用していた日本代表の戦術は世界レベルのチームに対して無力である。多くのサポーターはこのことを実感したに違いない。

  日本はワールドカップに3回出場しているが、ホーム開催の日韓大会を除き、6戦して1分け5敗である。あの黄金の世代が中核をなしたドイツ大会ですら、クロアチア戦を0対0で引き分けるのが精いっぱいであった。英国のブックメーカーのオッズによれば、アジア・オセアニア地域を勝ちあがったオーストラリア、韓国、日本、北朝鮮はそれぞれのグループで最下位の評価である(雑誌「ナンバー」6月3日号、文芸春秋)。勝負事、特にサッカーは弱いチームでも勝てる要素が多いとされているが、どのチームも懸命になるグループリーグを勝ち抜くことは容易ではない。カメルーン、オランダ、デンマークは日本戦に勝ち点3を取りに来る。今年の欧州チャンピオンズリーグでインテルが勝利したように、守りに徹し、負けないようにすることも一つの方法であろうし、引き分けによって、チームのムードも高まってくることと思われる。

  日本代表はオーストリアでイングランドと、スイスでコートジボワールと国際親善試合を行い、6月14日にカメルーン戦を迎える。ともかくチームプレイ、戦術をシンプルにし、メンバー個々人がコンディションを整え、万全な状態で予選リーグの各試合に挑んでほしい。

(山梨総合研究所 調査研究部長 中田 裕久)