ハイブリッドな通勤手段
毎日新聞No.319 【平成22年8月6日発行】
梅雨明け以降、毎日暑い日が続く。県内も猛暑日・真夏日が続き、エアコンの利いた部屋から出るのには相当な勇気が必要だ。こうした猛暑や局地的な豪雨などの異常気象は地球温暖化もその一因といわれ、政府も温室効果ガス削減に力をいれている。その一環として、マイカー社会である山梨県でもわずかだが自動車に依存しない取り組みが始まっている。
通勤にバスや鉄道などの公共交通機関や自転車を利用する、ノーマイカーデイを設けるなどのエコ通勤である。私もバス通勤をしているが、自宅から甲府の職場まで片道15キロ。国土交通省のエコ通勤の手引きによれば、マイカーで通勤した場合に比べ年間約1.8トンもの二酸化炭素(CO2)削減効果がある。
環境に優しい乗り物として電動アシスト自転車も注目されている。県外では購入の際に補助を出す自治体もあり、甲府の中心部でも電動アシスト自転車を見かけることが増えた。かつては年配の方が乗っているママチャリタイプが主流であったが、現在ではスポーツタイプや折りたたみタイプのアシスト自転車も登場し、利用者が増えている。
今年の5月から私も週に数日、スポーツタイプのアシスト自転車を利用して、片道15キロの自転車通勤を始めている。購入価格は原動機付自転車と同じくらい、スピードは原付ほどではないが適度な疲労感もあり、朝夕の渋滞を考えればバス通勤とアシスト自転車通勤で通勤時間にほとんど差は無い。しかも、運動不足の解消にはもってこいである。バスだけ、自転車だけと通勤手段を限定せず、天気の悪い日や猛暑日はバス通勤、仕事帰りに寄り道や買物をしたいときは自転車で通勤といったように、2種類の通勤手段を使い分ける事で活動範囲もぐっと広がった。
バス通勤とアシスト自転車通勤を併用したハイブリッドな通勤を始めて3ヶ月、夏場はバス通勤に偏りがちだが、選択肢が増えた通勤はこれまでよりも快適である。CO2削減のため最初からエコ通勤と構えて取り組むのではなく、まずは通勤手段をいくつか用意し、気分や目的によって通勤手段をかえるハイブリッドな通勤にチャレンジしてはいかがだろうか。
(山梨総合研究所 研究員 三枝 万也)