めざせ「イクメン」
毎日新聞No.320 【平成22年8月20日発行】
「イクメン」という言葉をご存知だろうか。「育 MEN」すなわち育児を楽しむ男性のことである。共働き家庭が増加する中、またライフスタイルや価値観の変化により、育児や家事に積極的にかかわりたいという男性が増えている。
確かに昔と違い、子どもの入園式や入学式などの行事に参加する父親も多い。私も毎朝娘を幼稚園に送っているが、子供と触れ合う時間を少しでも多く確保したいと考えている。
今年6月には改正育児・介護休業法が施行された。改正法では男性の育児休暇取得促進策(パパ・ママ育休プラスなど)が盛り込まれたほか、子供が3歳未満の従業員の場合、1日6時間の短時間勤務制度が可能となり、また勤務先に請求すれば残業が免除されるなど、男女ともに子育てをしながら働ける法制度が一層整備されている。
09年度の雇用均等基本調査によると、男性の育児休暇取得率は過去最高の1.72%となったが、女性の取得率85.6%と比べるとまだまだ低い。収入減少や職場評価への不安、同僚への遠慮などから、法整備はすすんでも、なかなか制度を利用できていない。
また、男性の家庭での育児時間も米、英、北欧諸国などと比べて半分以下と少なく、育児にかかわりたいと思ってはいても、仕事を優先しなくてはならないのが現状である。
仕事と育児の両立支援に対しては、企業の取組み姿勢も異なる。県内において厚生労働省の子育て応援企業認定「くるみんマーク」を取得している企業は、YSK e-com、ニスカ、東京エレクトロンAT、東京エレクトロンTSの4社とまだまだ少ない。子育て中の社員が働きやすい職場環境の整備は、企業の社会的責任の観点からイメージアップにつながるし、優秀な人材の確保にも大切な条件となる。ワークライフバランスの推進に向けた企業の積極的な取り組みが求められる。
娘が通う幼稚園で、子供たちとの触れ合いを大切にというコンセプトのもと、今夏からパパたちが作る「イクメンの会」が発足した。まだ始まったばかりで手探りではあるが、私も積極的に参加し、このような活動を地域の中で少しずつでも広げていければと思う。父親であることを楽しみ、「イケメン」にも負けないすてきな「イクメン」を目指したい。
(山梨総合研究所 主任研究員 小柳 哲史)