VOL.8「米国の電子書籍シェア8.3%」
米出版社協会(AAP)が発表した2010年の米国での書籍売上高を見ると、電子書籍が前年の約2.6倍、約370億円、一般書籍全体のシェアは8.3%に達した。
電子書籍専用端末の普及、アップル、グーグルの電子書籍の販売開始等を要因に電子書籍の市場が急速に拡大している。
一方、日本では、毎日新聞が実施した「第64回読書世論調査」によると、実際に電子書籍を「読んだことがある」人は1割にとどまっている。読んだことがない人に読みたいかどうかを聞いても「思わない」が8割近くに上り、電子書籍に抵抗感を持っている人が多い。その理由を見ると、「紙の本に愛着があるから」が最も多くなっている。
また、コクヨのグループ会社の㈱カウネットが全国のはたらく女性を対象に行った「はたらく女性の読書に関するアンケート」によると、働く女性の5割近くが電子書籍に興味を持っており、その関心の高さが伺える。
私の周りを見ても、電子書籍を持っている人はわずかだが、その動向を注視している人は多い。電子書籍には紙の本には出来ない新たな読書体験ができる等、大きな価値がある。紙の本に愛着がある日本で、どこまで電子書籍が浸透するかどうかは分からないが、紙と電子の両者を上手に使い分けることで、利便性は高まる。電子書籍の今後の展開に注目したい。
(主任研究員 矢野 貴士)