VOL.9「月間最大電力5,999万キロワット(H22年7月実績)」
東京電力が実施する地域や時間帯を決めて電気を止める計画停電により、家庭生活や企業の活動に深刻な影響が出ている。戦後の高度経済成長を経て、行き着いた先に待っていた「ロウソク生活」が示唆するところは非常に大きい。
同社の発表によると、大地震で福島第1原発だけでなく、太平洋沿岸や東京湾にある火力発電所が被災し、他社受電を除く供給力は約3千万キロワットに落ち込んでいる。このため、例年3月期の最大電力である4千万キロワットの需要をまかなうことができず、計画停電に追い込まれた。
上記の需給ギャップを埋めるため、休止中・検査中の火力発電所が4月までに再稼働する。こうした緊急対策により、他社からの受電を含め供給力を4千万キロワットに引き上げ、4月末には計画停電を解消したいという。
だが、問題は夏の電力需要だ。東電管内の毎年の最大電力は平成22年7月5,999万キロワット、21年7月5,450万キロワット、20年8月6,090万キロワットと、ほぼ6,000万キロワット前後で推移している。現状の供給能力と夏場の需給ギャップは2,000万キロワットにも達する。昨年のような猛暑が再来すれば、計画停電もさらに深刻なものにならざるをえないだろう。
電力供給の陥穽は、当分の間日本社会を苦しめる見通しで、「エネルギー革命」が未来の課題ではなくなったことは確かだ。省エネ、省資源、再生可能エネルギーへの転換で、環境に優しいライフスタイルに移行することを、私たちは今ここで求められている。
欧米のジャーナリズムでは「As goes Japan,so goes the world.」(日本が進むように世界も進む)と、日本人の行方を固唾をのんで見守っている。
資源エネルギー庁電力統計
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/denryoku/result-2.htm
(主任研究員 井尻 俊之)