日本一の花火大会を目指して
毎日新聞No.344 【平成23年8月5日発行】
今年も全国各地で花火大会が行われる季節となった。
毎年思うことだが、大変な人混みで花火をゆっくり楽しむことができない。そればかりか、会場のいたる所でごみの山となっており、多くの方はそれを見るたび心が痛むのではなかろうか。
全国でも有数の花火大会である秋田県の大曲全国花火競技大会では、一晩で80万人の観覧者が訪れるようだが、飲食等のごみの排出量も100トンを超えている。
そもそもごみは年間どれくらい排出されるのであろう。環境省の「一般廃棄物の排出及び処理状況」の資料によると、平成21年度の全国の家庭などから排出される一般廃棄物の量は4,625万トン(東京ドーム約124杯分)であり、前年度と比較して3.9%少なくなっている。
確かに、こうみると家庭など排出されるごみの量は、減少傾向となっているのかも知れない。しかし、問題は、ごみの排出量だけにとどまらない。ごみを焼却した後の焼却灰などの最終処分場の収容能力に限界があることを忘れてはならない。先の調査によると今後、新規の最終処分場が整備されない場合、このまま埋め立て処分を続ければ18.7年(全国平均)で一杯となってしまうという。
まさに、私たちは、ごみをさらに減らす努力が求められている。ごみゼロがもっとも望ましいことではあるが、急ぎ私たちが今できることからはじめなくてはならない。
東日本大震災以降、節電に心がけるようになってはいるが、省資源、省エネ意識を生活スタイル全体に広めていく必要がある。
例えば、ばら売りや量り売りを選んだり、過剰包装を断るなど一人ひとりがごみを減らすという意識を持って行動することが大切である。
「面倒だ」、「誰かがやればよい」と言う考えでは、私たちの生活が近い将来、行き詰まってしまうのである。
今年は、東日本大震災復興祈願をテーマに開催される花火大会が多いが、被災地へエールを送る気持ちで花火鑑賞をしてはどうか。大会の規模を競うだけではなく、ごみの少なさ、マナーのよさ日本一の誇れる花火大会を目指したいものである。
(山梨総合研究所 主任研究員 村松 公司)