VOL.14「4725円」
ドル・株安と世界的な金融市場の混乱の中、8月23日の東京工業品取引所では金価格1グラム4725円まで上昇。ニューヨーク金先物市場では1オンス=1917・90ドルまで上昇し、初めて1900ドルを突破、過去最高値を更新した。
こうした急激な金の高騰は、伝統的な宝飾品を地場産業とする山梨では2度目の深刻な経営ショックとなる。また金を部品に使う電子機器工業関係にも影響が大きい。昭和50年代の金高騰ショックではコスト削減のため10金の宝飾製品まで登場した。当時はニクソンショック以後のドル安による金高騰に加えて、昭和54年イラン革命、第2次石油危機、旧ソ連アフガン侵攻により世界的な経済不安が増大したことにより、翌55年1月欧米では1オンス850ドルの最高値を付け、日本では最高値6495円/gまで高騰した。当時の1ドル227円という為替相場の関係で、これが日本の過去最高値である。
(主任研究員 井尻 俊之)