VOL.16「雪男の生息可能性95%」
ロシア西シベリアのケメロボ州で開催されたある国際会議において、このような内容の総括宣言が採択されたとのこと。「これまでに確認された資料によると、95%の可能性で雪男は生息している」。
「95%」という高確率はもとより、かつて「生息していた」伝承の可能性ではなく、今現在において「生息している」現実の可能性というところも驚かされた。温暖化など地球規模での環境変化にさぞ苦しんでいるのでは、といらぬ心配をしないこともないが、アメリカでは「ビッグフット」だし、中国では単に「野人」と呼ばれていて、雪男を直訳した「スノーマン」というニュアンスとはやや異なる様子。おそらく熊や類人猿に近い存在だろうということで、環境への適応能力も高いのかもしれない。
しかしながら、2010年に西湖で発見されたクニマスはすでに絶滅したとみなされていて、つまり生息可能性は0%だったわけだから、まさに逆転満塁ホームラン、雪男をも超越した「大発見」だったわけである。
さて、くだんの国際会議。どのようなメンバーがどのような議論をしているかについての知識はないのだが、「雪男がいるかいないかは重要ではない。大切なのはここに来れば、観光客は独特の自然から本当の満足感を得られることだ」という州のイスラモフ副知事の言葉には納得させられる。観光客数は2002年と比較して70倍超の37万人以上になっているという。
環境保護と観光振興。これらは重要なキーワードとして表裏一体の役割を持っているのだろうか。
(研究員 赤沼 丈史)