「がんばっぺ!いわき」を訪ねる


毎日新聞No.348 【平成23年10月14日発行】

  10月1日、2日と福島県いわき市を訪ねた。10月1日は、いわき復興祭の開幕日、物産展、いわきおどり、いわき産業祭など様々な催しが2日間開催されるとのことで、全国から多くの人を集めていた。また、当日は東北のハワイとして知られるスパリゾートハワイアンズの再開の日である。

  いわき市は3月11日の地震と津波で小名浜港を始めとする海岸部が被災し、さらに4月11日、12日の直下型地震でスパリゾートハワイアンズ、いわき湯本温泉などの内陸部が被災した。
  9月26日現在、東日本大震災による人的被害は348名(行方不明者含む)、住宅被害は62,506棟(一部損壊含む)である。いわき市は東北一の製造出荷額を誇る重化学工業都市であり、工場地域はいち早く復旧がなされている。国際港湾の小名浜港は瓦礫処理が終了し、水族館アクアマリンふくしまは7月15日に再オープンしている。また、火力発電所や大型工場が集中する岩間町は住宅を除き復旧にこぎつけている。他方、瓦屋根の一部が損壊し、ビニールシートがかけられている住宅も目立ち、地震の影響が見られる。ちなみに修理要望をしても地元業者のみでは、2年待ちとのことで、原発事故後の風評被害がうかがえる。

  いわき復興祭、スパリゾートハワイアンズのハイライトはやはり、フラガールのショーである。5月3日のいわき市の避難所慰問を皮切りに、フラガール全国きずなキャラバンがスタート、全国125箇所を回り200以上の公演を行ったという。野外ステージに立つ機会があったためか、フラガールはひときわ黒く、輝いていた。このキャラバンのダイジェスト版を見せていただいた。各地で老若男女の方々がメッセージを書いているシーンもあるが、実際の寄せ書きがスパリゾートハワイアンズの壁に貼られているのを見ると、観客の共感や感動が伝わってくる。2006年に公開されたフラガールは、炭鉱閉山から1966年に常磐ハワイアンセンターが開業するまでの物語。「がんばっぺフラガール」は、復興に向けた全国キャラバンのドキュメンタリー映画で、10月29日から全国ロードショーである。
  映画や実際の寄せ書きを見て、きずなを体験されたい。

(山梨総合研究所 調査研究部長 中田 裕久)