VOL.18「障がい者1000人雇用推進条例」


 岡山県総社市は「市障がい者1000人雇用推進条例」案を12月定例市議会に提出した。市民にとってわかりやすく、かつ市民の積極的協力が不可欠な高い目標値として、「1000人」を掲げたものであろう。
 就労は国民の義務であるとともに、自立して自分らしい生活を送るために与えられた「権利」でもある。しかし、障害者雇用に対する企業側の理解不足に、昨今の不況もあいまって、障害者が労働を通じて自己実現を図ることのできる社会の実現までは「いまだ道遠し」の感がある。今年度は、障害者自立支援法に基づく障害福祉計画の見直しの年度に当たり、今は障害者福祉施策のありようがそれぞれの市町村で見直されている時期である。自立支援の理念の下、就労促進は計画上の一大テーマではあるものの、地域雇用の大宗を占めるのは民間部門であり、行政サイドとして限界を感じる向きもあるのではないかと推察する。
 こうした中、総社市では自ら率先して9名の障害者を市役所部門で雇用するなど、「1000人」の旗印を掲げて果敢にまい進しており、全国の障害福祉担当者にとっても勇気づけられるところだろうと思う。障害者雇用の各種優遇制度のメリットを周知・訴求したり、地域企業の経営者層とのパイプを活用して就労支援につなげるなど、行政ならではの動き方もあるだろう。行政の果たし得る役割を開拓していくこと、これが雇用先の開拓に直結する、と信じて取り組みを進めていただけたらと願っている。

(主任研究員 中村 直樹)