VOL.20「消費税引き上げ10%でも財源不足」
政府は2月17日、消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革大綱を閣議決定し、現行5%の消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げると明記した。3月末までの国会提出に向け消費税増税関連法案の作成作業を進めている。
これに対して共同通信が翌日、実施した全国世論調査では、内閣支持率29.0%と急降下したものの、年金や医療などの社会保障制度と財政を維持するために、消費税を引き上げることには賛成が48.3%、反対が50.6%と拮抗する結果が出た。日本の財政破綻への危機感から、国民の半数が増税を容認せざるを得ないと考えているようだ。
しかしながら、内閣府の中長期試算では、消費税率を10%に引き上げても、財政健全化の指標である基礎的財政収支(国と地方の合計)の赤字幅は、15年度に16.8兆円、20年度で16.6兆円に達する、とさらなる消費税率アップへの伏線を張っている。税率を2倍増にしても問題解決ができない、ということでは賛成派の国民であっても理解を得ることは難しいのではないか。
(主任研究員 井尻 俊之)