VOL.25「2011年3月に卒業した県出身の首都圏大学・短大生のU ターン就職率23%」


 さて、このUターン就職率であるが、4分の1にも満たないということで、低いと見る向きも多いだろうし、報道もほぼその論調だった。
 しかしながら、「若いし」はどんどん外に出ていけばいいのではないだろうか。他所の状況をよく見聞きして、吸収すべきは吸収し、そしていつか山梨のために力を発揮すればいいのだ。
 情報通信技術の発達やリニアの実用化など、様々な技術革新は日進月歩の勢いで世界をフラットにしている。そう遠くない将来には、「県外」・「県内」といった距離感の概念は大きく変わり、「働き方」にも変化が現れるだろう。若者の地元志向や地域社会への貢献意識は年々高まっているとされる。どのような形になるか今はまだ想像できなくても、山梨県外にいながら県内の企業や事業に携わる機会は今後増えるはずだ。
 フラットな世界で生きることを余儀なくされ、自分のルーツやよりどころを求める気持ちは強まっている。ふるさとの求心力はより一層高まっていくだろう。
 また、中小企業に対する意識も変化している。中小企業への就職希望者が大企業への就職希望者を14年ぶりに上回った、とリクルートは推計を発表している(2013年3月卒業予定者)。この傾向も継続するなら山梨県にとっては追い風となるだろう。

(研究員 赤沼 丈史)