スマホでつながる世界


毎日新聞No.368 【平成24年8月3日発行】

 山梨中央銀行の調査によると、山梨県民の2人に1人はスマートフォン(スマホ)を利用しているそうである。
 筆者も半年ほど前に携帯電話をアップル社のアイフォーンに替えた。  スマホは、多機能携帯電話ともいわれるように、従来の携帯電話に比べて機能が豊富であり、アプリというソフトウェアによって、自由に機能を追加することができる。
 スマホをパソコンとすると、従来の携帯電話はかつてのワープロ専用機に近いのかもしれない。パソコンは多機能すぎて使いこなせないので、ワープロ専用機で十分、と言われたことがあったが、スマホも同様であり、電話やメールをするだけであれば、従来の携帯電話で十分な場合も多いだろう。

 筆者はアイフォーンを使い始めて、2つのつながりを実感した。
 ひとつは世界の経済とのつながりである。カバーを購入するために大手電機量販店に出向いたが、その種類の多さに圧倒された。アイフォーンは、日本国内だけでなく、全世界で販売されているため、そのカバーも全世界で生産、販売されている。その量販店でも、英語やよくわからない言語のパッケージが並んでおり、世界的な製品のすごさというものを実感した。
 もうひとつはウェブの世界とのつながりである。筆者も全てを使いこなせているわけではないが、スマホが実力を発揮するのは、ウェブとつながることによってだと感じている。例えば、スマホのカメラで撮った写真を自動的にウェブ上のサービスに転送するアプリを導入している。これによって、自分で意識しなくても、外出先で撮影した写真を職場や自宅のパソコンからも参照できるようになる。小さな機能かもしれないが、スマホがウェブ上のサービスとつながることで、利便性が向上した。

 2006年に梅田望男氏は『ウェブ進化論』で、これからはウェブの「あちら側」にあるサービスなどの構造が大きく変わると説いた。それから6年、スマホは「あちら側」を利用するための重要なツールであるのかもしれない。

(山梨総合研究所 主任研究員 進藤 聡)