国民文化祭への期待
毎日新聞No.378 【平成25年1月18日発行】
12日に国民文化祭が始まった。国内最大級の文化イベントであり、期間も303日間と長期にわたるイベントだ。
筆者は昨年2つのイベントに参加した。
一つ目は、三重県鈴鹿市で行われた自動車レース、F1日本グランプリだ。鈴鹿サーキットを訪れたのは3回目となるが、毎回サーキットを中心に街がお祭りムードとなる。特に今回は、日本人選手が22年ぶりとなる表彰台を獲得したこともあり、レースが終わってからも、多くの人が会場に残って余韻を楽しんでいた。
二つ目は、毎年夏に行われる富士山河口湖音楽祭である。今回で11回目を迎える音楽祭であるが、監修を務める佐渡裕氏の指揮する演奏を楽しみに、ほぼ毎年出かけている。演奏会の最後に会場のステラシアターの屋根が開き、富士山が見えると、あらためて山梨の自然の豊かさを感じさせてくれるイベントでもある。
どちらも多くのボランティアの活動に支えられているということが、イベントとしての魅力の一つとなっている。
あまり知られていないが、自動車レースにおいて、コース脇に待機して故障車の撤去などの安全管理を行う人は、ボランティアで参加している。世界的なレースであるF1でも同様であり、約200人のボランティアスタッフがレースを支えている。富士山河口湖音楽祭もボランティアを中心とした実行委員会が運営を行い、毎年様々な趣向を凝らした音楽祭を企画している。
実際にレースを見たり、音楽を聞いたりしていると、これらの人たちの熱意を感じることがある。レースの合間や曲が始まる前の準備作業の中に、「本当にこのイベントが好きなんだな」と感じさせる瞬間がある。それがイベント本来の感動を大きくしてくれる。これが「おもてなし」につながるのかもしれない。
国民文化祭には、県内外から多くの参加者が見込まれている。イベントを企画・運営する人たちの熱意が伝わり、参加者に感動をもたらすような場面が数多く生まれることを期待したい。
(山梨総合研究所 主任研究員 進藤 聡)