「甲斐人」、何て読む?
毎日新聞No.379 【平成25年2月1日発行】
本日2月1日から7日は「おもてなし推進週間」である。これは平成23年12月施行の「おもてなしのやまなし観光振興条例」によるものである。
この条例は、県民総参加によるおもてなしによって来県者がまた来たいと思えるような魅力的な地域づくりに取り組み、それを活力のある地域社会の実現へとつなげていくことが目的としてうたっている。また、ここでいう「おもてなし」とは旅行者の立場に立ち、暖かな心配りや良好な景観の形成、安全性・快適性・利便性の確保、地域の特産物の活用、歴史・文化的資産などの保存や活用によって、旅行者をもてなすことである。
“歩く郷土資料館・観光案内所”は高いハードルだが、後に通る人のことを思って道に落ちたゴミを拾う、お客さんやたまたま目にする人のことを思って家の周りを整えておくことならできるかもしれない。道を尋ねてきた方を思い、見送りがてら「道中気をつけて」とプラス一言が出れば、御の字だろうか。いずれにしてもこれらの行動の底に流れるのは「親切さ」であろう。
そのようなことを考えている内に、ふと、思い出したことがある。学生時代の英語の授業の「脱線」のやりとりである。
先生が黒板に“We are 甲斐人!“と書かれ、これをなんと読むか、とおっしゃった。
答えは ウィー アー カインド。「親切な」を意味する“kind(カインド)”と甲斐の人を「商人(あきんど)」と同じ要領で「かいんど」と読ませ、“山梨の人は親切”と読み解くバイリンガルなダジャレ、もとい掛詞である。
かつての山梨の観光関連のキャッチフレーズだったのか、先生が我々生徒の気を引きつけるための“オリジナルのネタ”だったのかは定かではないが、「山梨に住む親切な人々」が「おもてなし」を担えば、来る人の心を温かくし、山梨ファンを増やすことにつながるはずである。
「国文祭」の開催もあって、今年はより多くの方を全国からお迎えすることになるだろう。四季折々が美しい魅力あふれる山梨に住む“kindな甲斐人”の一人でありたいとの思いを新たにした。
(山梨総合研究所 研究員 佐藤 史章)