VOL.37「平成27年12月31日まで」「1,500万円まで」教育資金の 贈与税非課税措置


 教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(祖父母など)から贈与された所定の条件を満たす資金が非課税となる措置(※)が今年度から始まっており、この制度に対応する商品を普段立ち寄る金融機関でも目にするようになった。
 「子」世代から見て、高度経済成長期に額に汗して働いた「祖父母」世代の努力のたまものが贈与の対象となるわけだが、ここでは「世代」というマクロの立場から考えてみたい。
 高度経済成長当時の様子について”努力に報いる時代の風が吹いていた”ということがいわれる。この時代の人口の動き(「集団就職」にみられる労働力となる年齢層の急増)が経済にプラスに作用しており、そのことを「人口ボーナス」と捉える考え方がある。人口ボーナスの発生は一国の経済史の中でそう何度も起こるものでもないことから、あの時代は”運が向いていた時代”だったのかもしれない。
 かたや、「教育」という手段は、努力如何で「拡大再生産」が効き、うまくすれば成果を食いつぶすことなく次代につなげられるものである。
 歴史上の「幸運」と先人の努力とをあわせて築いたものを、「もらったもの」ではなく「預かりもの」として、”学びの形”で世代を超えて共有するきっかけとして、この制度に注目したい。

(主任研究員 佐藤 史章)