VOL.38「県内高齢者の10.5%」
山梨県が実施した平成25年度の高齢者福祉基礎調査(基準日4月1日)によると、65歳以上の高齢者221,823人(高齢化率25.7%)のうち、10.5%にあたる23,352人が認知症高齢者。2008年度からの統計で初めて1割を超えた。08年から11年までは1000人~数百人程度の増加だったが、12年は前年比3,754人、13年は同2,876人と急激に増加し、一気に大台に乗った。
筆者の同居の父も2年前に認知症を発症し、現在は統計で認知症とされる日常生活自立度Ⅱ(日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる)以上にあたる。
一人では着替え、風呂、食事、トイレなどができない上に問題行動・言動もあるので、実際の自立度は悪い方から2番目のⅣとみられる。介護保険の要介護度は3で、週2回のデイサービスに通ってはいるが、それ以外の面倒を見ているのは同じく老いた母である。
介護の現場から最も問題だと感じるのは、認知症高齢者を抱える家族が、その世話に多くの時間を費やさなければならないという重い負担である。在宅介護と簡単に言ってくれるが、家庭で一人の認知症高齢者の世話をするのには、一人以上の健常者の家族が必要だ。しかも、ただ日常生活の世話をするだけでなく、認知症特有の問題行動・言動に対応しなければならず、それは24時間、昼も夜も関係なく、肉体的にも精神的にも非常に厳しい。
厚生労働省では認知症対策として、2013年度から「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」を実施。早期診断や早期対応、地域での生活を支える医療サービス・介護サービスの構築、認知症地域支援推進員などによる地域での日常生活・家族の支援の強化などを掲げている。国も県も市町村も、早急に総力を挙げて推進してほしい。認知症高齢者が一人増えたために誰かが背負わなければならない負担は、当事者になってみなければ分からない重さがある。
(主任研究員 河住 圭彦)