VOL.39「2020年までに国民の健康寿命を1歳以上延伸」


 先日、祖母が癌のため亡くなった。大正生まれの91歳であった。厚生労働省が2010年に公表した「平均寿命」は男性が79.55歳、女性は86.30歳。同「健康寿命」は男性が70.42歳、女性が73.62歳であったことを考えると、天寿を全うしたと言って差し支えないのではなかろうか。
 「健康寿命」とは、健康で活動的に暮らせる期間。WHO(世界保健機関)が00年に提唱した指標で、平均寿命から、衰弱・病気・痴呆などによる介護期間を差し引いたもの。「平均寿命」と「健康寿命」の差は、日常生活に制限のある「不健康な期間」を意味しており、10年時点では、男性9.13年、女性12.68年となっていた。
 筆者の祖母は、この「不健康な期間」が1カ月程度と、一般的には短い期間であった。亡くなる1カ月前までは、自分で食事し、入浴し、曾孫の相手などを楽しんでいた。
 実は7、8年前には腫瘍が見つかっており、手術の準備も進められていたのだが、手術当日になって本人が拒否したため、行われなかったそうだ。手術後に寝たきりになるかもしれない、それは厭だ、と訴えたらしい。筆者がこのことを知ったのは、祖母が最期の入院をした後のことだったが、長く健康的な生活が出来たことは、家族にとっても幸せなことであったと思う。
 平成25年6月に閣議決定された成長戦略、「日本再興戦略-JAPAN is BACK」の中短期工程表には、成果目標(KPI)として2020年までに国民の健康寿命を1歳以上延伸することが掲げられている。また、厚生労働省は平成25年8月の報道発表のなかで、「国民の健康寿命が延伸する社会」に向けた予防・健康管理に関する取組の推進について公表した。
 山梨県が過去に行った2度の健康寿命実態調査(H15,17)によると、いずれも山梨県民の健康寿命は全国で上位にランクインしていた。政府が健康寿命の延伸を推進し、全国的にこれが伸びてきた時、山梨県は変わらず上位に居続けられることを望みたい。

(研究員 岡 浩之)