VOL.40「2013年ゆるキャラ(R)グランプリ の“順位”  締め切り間近につき“不明(非公表)”に」


 ゆるキャラと聞くと、ちょっと前なら「ひこにゃん」(彦根市)の名前が真っ先に出てきた。今では「くまもん」(熊本市)が絶好調で、その座を虎視眈々と狙う「バリィさん」(今治市)、といったところだろうか。これらが全国区に躍り出るきっかけとなったのが標記のグランプリである。
 今年は11月8日までが投票期間であるが、期日前の盛り上がりを期するために直前の1ヶ月間は順位の公表を伏せているそうだ。筆者はたまたま公開最終日に集計結果をかいま見ることができた。
ちなみに1位は世界遺産を分け合うお隣静岡の「出世大名家康くん」だった。気になる県勢はというと…、ファイナルに向けて巻き返しに大いに期待したいところだ。
 このグランプリのコンセプトの面白さは日本の津々浦々に住む八百万の神々とゆるキャラをオーバーラップさせてとらえている点である。地域の故由に因んだキャラもいれば、新たな地域の物語を背負ったキャラもいる。
 そのような中で、非公式と言いながらも市域のみならず全国区で広く存在が受け入れられているキャラがいる一方、何でこのキャラが我が町に?という感想を持たれる向きもあるやに聞く。
 筆者の印象だが、「しっくりとくる」キャラクターは、その地域や集団が共通して持つ思いをキャラクター紹介の能書きの由来・名産品云々以上にしっかりとらえて、体現しているのではないか。裏を返せば、支持されるゆるキャラのいる地域・集団には共通の思いがあるはずであり、その思いには、地域・集団をより良くしていくための力があるはずだ。
 グランプリの順位はまずはさておき、真に愛される、「我が町」のキャラクターが続々と登場することが望まれる。

(主任研究員 佐藤 史章)