VOL.41「自転車で3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金」


 6月14日に公布され、12月1日に施行される改正道路交通法で、道路の路側帯の左側通行が義務付けられる。これに違反すると、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性がある。
 どういうことかピンとこない方に説明すると、車道の左側にある白線で区切られた路側帯という場所を自転車で走行するときは、車と同じ進行方向に走らなければならず、車に対向して右側走行をすると道交法違反となり、罰を与えられる、ということである。
 こう聞いてもよく分からない方に説明すると、改正前の道交法(第17条の2)では、「自転車(軽車両)は路側帯を通行できる」という内容が規定されているだけで、その進行方向までは決められておらず、自転車は路側帯をどちらの方向に走ってもお咎めなしだった(当然だがマナーとしてのキープレフトは存在した)。改正法では、通行できる区分に「道路の左側部分に設けられた路側帯」と規定が付いたため、これによって右側走行は通行区分の違反となり、罰則の対象となる、ということである。
 なんのことやらさっぱりという方にさらに説明すると、この改正がなされたのは、自転車が路側帯を右側走行することが非常に危険であるためである。ただでさえ幅の狭い路側帯で2台以上の自転車が対向して走れば、①正面衝突する ②どちらかが車道にはみ出して車と接触事故を起こす ③どちらかが歩道に乗り上げて歩行者と接触事故を起こす――という恐れがある。なぜ左側走行がよくて右側走行が禁止かというと、そもそも路側帯の右側走行は④車との相対速度が上がり正面衝突の危険性が高まる ⑤交差点での出合い頭事故を誘発する――など、これまで道交法で禁止されていなかったのが不思議なほど危険性の高い行為だからである。
 結局なんのことだか理解不能だ、という方がいるとしたら、最寄りの警察署に行って自転車の安全運転について講習を受けるか、自転車に乗ることを控えた方がいい。
 法律が改正されたからといって、即座に効果が表れるとは限らない。そもそも自転車の走行に関しては、現在でも左側通行どころか、信号無視、一時停止違反、飲酒運転、夜間の無灯火など、自殺行為とも思える悪質な違反をする光景を見かける。関係機関には徹底した周知を図ってもらうことを期待するとともに、この改正で自転車利用者の安全意識が少しでも向上するように祈るばかりである。

(主任研究員 河住 圭彦)