地域の振興と親交
毎日新聞No.402【平成25年12月27日発行】
山梨市の万力公園で、「第一回元祖武田赤備えまつり 信玄公誕生祭」が2日間に渡り開催された。
甲州市恵林寺を中心に、武田信玄公や家臣の姿でおもてなし活動を展開する県民有志グループ「風林火山 甲斐の虎武将隊」(伊藤由香代表)が、県外各地で同様の活躍を見せる武将隊に呼び掛け、8つの武将隊やご当地キャラなどがこの地に参集した。
見所としては各武将隊の演武やマイクパフォーマンスをはじめ、戦国時代の武勇の象徴ともいうべき「赤備え」を競うコンテストなども開催され、寒風吹き荒ぶ中にもかかわらずなかなかに盛り上がっていた。
筆者家族は初日に訪れ、「風林火山 甲斐の虎武将隊」、「越後上越 上杉おもてなし武将隊」(長野)、「忍城おもてなし甲冑隊」(埼玉)の3組のパフォーマンスを楽しみ、ご当地土産・グルメの紹介に釣られ、散財したところで「可愛いお子さんですね」と声を掛けられた。見ると全身赤装束に羽織を纏(まと)った凛々しい女性。会場の中でもひと際目を引く姿であったため、「赤備えコンテストの参加者の方ですか」と尋ねると、素敵な笑顔で「ええ」と答えてくれた。
その後、コンテストの結果は彼女の優勝で幕を閉じたが、ずいぶん遠くからの越県参加だったらしい。意気込みが違うと感じると同時に、はるばる山梨まで来てくれたことに感謝の念を覚えた。
このイベントは県の山梨県地域活性化協働事業から補助を得た民間主催のもので、「~Red Heart Project~甲斐国パワースポット化計画」として開催されたとのこと。衛星写真で見た甲府盆地がハート型に見えることから日本の心臓であり、「赤備え」の赤は風水で健康や生命力などを表している。かつて武田信玄公が「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」と言ったように甲斐国の人の力で巨大なパワースポットをつくり上げようという試み。
地域を盛り上げるため地元がやる気を出し、行政が支援するという望ましい形であるように思う。来年以降も引き続き開催され、コンテストで優勝した彼女のような方が多く訪れてくれることに期待したい。
(山梨総合研究所 研究員 岡 浩之)